憎みきれない、クソがきども。エピソード3。
そりは、「マルコメ」との出会いから遡ること、3年前の出来事。
こりは。
初心者まにまに先生と、その最初に受け持った生徒たちとの物語です。
採用試験に向かった、まにまにちゃん。
その運命や、いかに?
こりまでの、お話は。
エピソード1とエピソード2で、どぞ。
第3話「採用の条件は、ただひとつ」
少しだけ震える足で、教壇に向かい。
チョークを手に持ち、黒板に板書を少し。
おもむろに、振り向いたら。
あとは、気合でしゃべるだけ。
ああ。
学生時代に、舞台に立っておいて良かった。
出番を待つ間は、いつだって、心臓ばくばくだけど。
立ってしまえば、開き直って集中できる。
舞台から見下ろす、観客席は。
ライトの陰で、真っ暗。
強い光のそばの陰は、余計に暗く感じるもの。
観客の顔なんて、最前列くらいしか見えないけれど。
それでも、モノローグは客の目を見て。
これが、舞台の上で培われた、私の習慣。
もちろん、ここは教室。
大きく切り取った窓から差し込む、陽光と。
それに加えて、こうこうと輝く蛍光灯。
陰なんて、もちろん、あるはずもなく。
ただ一人の観客である、フルートの目を。
ぐっと、睨み付けるように、見つめ。
笑顔の仮面を貼り付けて、ひたすらしゃべる。
十数分後。
再び、フルートと向かい合わせになり。
今度は、神妙な仮面に切り替え、やっぱ見つめる。
さあ、どうだ。
私を使うのか、蹴飛ばすのか。
どっちに決めたのだ?
「いいですねー。じゃ、明日から来てください。」
あら。
よろしかったの?
うんうん、そうだろう。
この私が、気合を入れたのだ。
よろしいに決まってるよなー。
てか、それにしても。
またまた、あっさりですこと。
「まにまに先生、私より向いてますよー。」
いやん、塾長。
そんなに持ち上げてくれちゃったりすると。
ものすごく。
胡散臭いでねか
しかも。
いきなり、まにまに「先生」呼ばわりですのね。
ああ、とうとう。
先生になっちゃうのか。
無事に面接に合格した、安堵の中で。
塾長の得体だけが、灰色の不安材料ではあったけれど。
とにかく。
こうして、まにまに先生が誕生しちゃったわけで。
気になるのは、自給。
自分の値段、ですもの。
さあ、いくらだ?
「最初の1ヶ月は、研修扱いになりますので。」
うん。
だから、いくらだ?
「でも、まにまに先生は、学生さんじゃないしなあ。」
そだよ。
でも、経験者でもありませんけど。
「いろいろとね、自給にもランクがあるんですよー。」
おまい・・・
んなこと、私に言って、どーするだ?
塾長なのであろうが!
なら、鶴の一声で、さっさと決めんかー。
と。
心の中では、イライラの声をあげつつも。
面は無言で、ちょい微笑んだまま、待つ私。
「よしっ。先生は期待も込めて、破格の自給にいたしましょう!」
うほー。
破格キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
ま、ここでは。
はっきりくっきり、いくらと書くのは、ヤらしいので。
例えで、表現させていただいておきます。
そだな。
円だと、かえって、わかりにくいし。
ドルでも、変に想像してしまいそうなので。
ここはあえて、ペソ、で。
ぷすす。
普通の学生バイトの、最初の自給が300ペソだとしましょう。
1年ほど経って。
使えない学生は、ずっと300ペソのまま。
そして、やめて欲しくないレベルの、学生バイトさんは。
350ペソに、上がるわけです。
私は、な。
最初から、400ペソの設定だったー。
しかも。
1ヶ月の研修後は、450ペソにしてくれる、と言う。
新しい自分探しの転職。
仕事の中身が充実してることが、一番だけど。
どうせなら。
貰えるものは、多いほうが、そりゃ嬉しいもん。
まにまに先生。
顔色も変えずに、うなづいておりましたが。
内心では、ガッツポーズっ!
もちろん、フルートだって経営側。
大盤振る舞いのウラは、ちゃんとあったわけだけど。
それはまた、別のエピソードで。
自給が合意に達したあとは。
受け持つ生徒と、出社する曜日の話し合い。
この塾には。
中学入試のために通う、受験組みの小学生と。
学校での補修のために通う、小学生。
さらには、高校入試を控える中学生がいる。
希望を訊かれて、考え込む。
中学生は、おうちゃくい。
しかも、この塾のある学区は、昔から。
中学生が、とことん、悪い。
悪い高校生は、いいのだ。
高校生は、思春期も終わっちゃってるから。
認めてやれば、意外と素直。
でも、中学生は怖い。
なにするか、わからん。
それならば。
小学生のほうが、素直で可愛いに決まってる。
それが、未経験者だった私の認識。
ものすごーく間違っていた、私の先入観。
小学生でお願いできますか?
そう言った、とたん。
フルート、破顔。
もう、蕩けそうな笑顔。
おあ?
なぜ、そこで笑う?
ちょと待てー!
その笑いの意味を、尋ねようとした瞬間。
「はい、決定!まにまに先生、小学生受験コースに決定っ!
もう変更なしですよー。」
決定、されてしまた。
さすがに、採用面談の席。
これ以上、問いかける勇気を持たず。
うなずくのみ。
ただ。
数日後に、私は知ったのだ。
塾長が、なぜ私を採用したか。
その、理由を。
ええ、そですよ。
ひとと慣れるのに、時間はかからない私ですから。
3日もあれば、ため口おっけー。
塾長に。
どして採用を決めたのか。
今度は、心の声でなく。
直接、たずねたわけですよ。
ねえねえ、塾長。
私の模擬授業、よかった?
「うーん、よかったというか。」
なんだよっ。
「まにまに先生は、声がでかいからなー。」
あ?
そりだけ?
「うん、それだけっ!」
そ、そりだけかよっ!
てなわけで。
この塾の採用基準が、知識でも経験でもないことが判明し。
ますます、この先だいじょぶかよ、との不安が募る。
そんな、まにまに先生の船出、でありました。
ちなみに、このとき。
我が愛すべき、クソがきたちは。
もうすぐ鬼がやってくるとは、つゆ知らず。
塾のセンセを困らせる嫌がらせを、練っているんだろうけれど。
ふふん。
明日からは、通用しないのだ。
つづく。
ボインで別嬪なの。
次女ちゃんは、フカキョンを上品にした極上品。
満面の笑み、でした。
なぜ、私がもらうのだ?
祝合格の文字。
って、オレンジ、いやいやー。
ドライアイスがめっちゃ綺麗だったー。
女性に、バラ一輪のお土産くれただよ。
麗しき師弟愛。
はじめまして。
ひぃ〜、汚い字っ♪